Vocal Studies + Uprock Narratives [解説・ボーナストラック付き国内盤] (BRC38)
価格: ¥2,500
全16曲の本作は、実験的でアンビエントなヒップホップが50分にわたって展開されるひとつの曲として聴くことができる。本作の中にあるばらばらの要素が、途切れることなくひとつにまとめられ、すばらしい穏やかさとファンキーで前のめりな動きを感じさせながら全体を包みこんでいるのだ。アトランタを拠点に活動するプロデューサー、スコット・ヘレンは豊富で多様な素材を用いて、本作の暖かで微妙なサウンド・コラージュを生みだしている。ラップとヴォーカルの細切れにされたパフォーマンスは、本作の多くの曲のサウンド構成において重要な役割を果たしている。ただし、MFドュームとエイソップ・ロックをフィーチャーした「Blacklist」は唯一の例外だ。この比較的ストレートなトラックは、ヘレンがMCのラップをいじくらなかったために、本作の抽象的なヒップホップとは見事なまでに対照的に仕上がっている。また、すてきな「Last Light」でヘレンは、サム・プレコップ(シー・アンド・ケイク)のメロウなヴォーカルに微妙に手を加えている。このフルートとストリングスを織りまぜたR&Bナンバーに耳を傾けると、雲間からそっと射しこむ日差しが今にも目に浮かびそうだ。本作はリスナーに、夢見るような気分と踊るような気分とを同時に味あわせてくれるのだ。(Fred Cisterna, Amazon.com)