ロサンゼルスにおける「ペイズリー・アンダーグラウンド」ムーヴメントが行き詰まると、レイン・パレードの創始者デヴィッド・ロバックは、ドリーム・シンジケートのケンドラ・スミスと共にオパールを結成し、その後、スミスに代わって新進のホープ・サンドヴァルを加えてマジー・スターを誕生させた。片足を優美なアートロックに、もう片足を騒々しいサイケデリアにつっこんだこのデビュー作には、耳について離れないマジー・スターのサウンドのあらゆる要素がそろっている。「Before I Sleep」「Sailing」では、サンドヴァルのヴォーカルは、残響の詰まった大きな水差しからしたたるシロップの最後の一滴のように響き、ロバックのギターはきらめくアルペジオから素朴なスライド奏法まで自在に弾きこなす。彼らは「Ghost Highway」でさえ思う存分楽しみ、タイトル曲ではドアーズになりきっている。スラップ・ハッピーの「Blue Flower」のカヴァーこそ、ペイル・セインツによる同曲のカヴァーより見劣りするかもしれないものの、このデビュー作はじっくりと聴きこむ価値がある。（Bill Forman, Amazon.co.uk）