口が達者なジャン＝クロード・ヴァンダムの本格的映画デビュー作で、実話に基づいて作られた、数少ないキックボクシング映画のひとつ。ブリュッセル出身の筋肉マンが演じるのは、最強の格闘大会「クマタイ」を、西洋人として初めて制したフランク・ダックスだ。クマタイは、制限時間なし、対戦を囲むロープもなしで行われる香港のイベントである。脚本部分がわずかに手薄だが、ヴァンダムのパワーを最大限に見せる本作は、間違いなく興奮できる。たとえば彼が相手の頭を蹴るとき、演技云々よりも、超人的な脚の開きに、ただただ感動できるのだ。
   個性的な悪者（『燃えよドラゴン』の巨体、ボロ・イェン）を相手にする場面は、テストステロン（男性ホルモン）が最高レベルで爆発するような快感。ファイト・シーンの振り付けも、ことごとくよくできている。カメオ出演のフォレスト・ウィティカーが、弱りきった表情で不運な警官役を演じる。残念ながら彼のキックボクシングは見られないが。（Andrew Wright, Amazon.com）