ジャック・ブルース（VO、B）、ジンジャー・ベイカー（Ds）、エリック・クラプトン（g）というロックの歴史を代表するスーパー・プレイヤーが集結した伝説のグループ、クリーム。本作は彼らの絶頂期のパフォーマンスがリアルに表現された作品で、スタジオ録音盤とライヴ盤の2枚のディスクで構成されている。クリームの代表曲として知られる「ホワイト・ルーム」が収録されているスタジオ盤も興味深いが、このバンドの凄まじい演奏能力を端的に伝えるライヴ盤のほうがより強烈なインパクトを放っていることは否めない。
   特に<10>（原曲はロバート・ジョンソン）、<11>（原曲はウィリー・ディクスン）におけるクラプトンのソロ・パートは、熱心なファンの間でも評価の高い名演。右手のピッキングを極端に減らし、左手のテクニックを駆使しながら流麗なフレーズを重ねていく、いわゆる「スロー・ハンド」奏法は、この時点で完璧に完成されている。クラシックやジャズの要素を取り入れ、ブルースの呪縛を越えようとしたクラプトン。本作において、彼のギター・プレイがひとつの頂点を迎えていることに、異論の余地はないだろう。（森 朋之）