アメリカ史上最大の悲劇に数えられる事件の混乱と混沌の中から、トーリ・エイモスの傑作アルバムは生まれた。批評家から絶賛を浴びたカヴァーアルバムである前作『Strange Little Girls』に続く本作は、ニューヨークとワシントンDCへのテロ攻撃のすぐあとに、国を横断する旅を模して書かれたものである。3000マイルを越える旅と18曲が収められた本作でこの赤毛のシンガーが出会うのは、不良のカップル（「A Sorta Fairytale」）、改心したポルノスター（「Amber Waves」）、突然アイデンティティを探しはじめた国の魂を体現するさまざまな登場人物たちである。エイモスは深い慈愛を携えて、悲しみ（「I Can't See New York」）と怒り（「Don't Make Me Come to Vegas」）と不安（「Your Cloud」）の渦巻く激流をわたり歩いている。こうして本作は意欲的な旅行談と、ほろ苦さと挫折感に対する優しい返答を同時にリスナーに届けている。（Aidin Vaziri, Amazon.com）