センスや首尾一貫性が批評家に絶賛されるような美点になりえないことは多い。常にメディアの騒乱の真っただ中に置かれているジャズ・アーティストたちは、「新しい」挑戦的なサウンドで絶えず世を騒がせ、我々リスナーの関心を引きつけておかなければならないらしい。というわけで、ジェフ・ゴルブから新たに届けられたセンスのいいブルース風味のインスト集は、とんでもない大傑作ではないというだけで簡単に見過ごされてしまいそうだ。この8作目のアルバムでは、オリジナル曲にさまざまなミュージシャンからの影響――ラムゼイ・ルイス(「Boom Boom」)からクルセイダーズ(「Back Home」)まで――を反映させた、いつものゴルブらしいサウンドが展開する。あくまでもスムース・ジャズの体裁を保ちながら、ジェシ・ウィンチェスターの「Isn't That So」(歌はマーク・コーエン)やオハイオ・プレイヤーズの「Skin Tight」の見事なカヴァーにも手を伸ばすあたり、あいかわらず驚かせてくれる。それに――このギタリストはいつもタイトルどおりの内容をもったアルバムを届けてくれるので、もはや驚くにはあたらないことだが――全編にソウルが満ち満ちているのだ。
スムース・ジャズをムード音楽と定義するなら、本作は間違いなくスムース・ジャズといえる。しかし、このジャンルにはびこっている顔の見えないヒーリング・アルバムとは異なり、この『Soul Sessions』では、輝かしいギターと力強いグルーヴの生み出す雰囲気が聴く者の心と腰を躍らせてくれるのだ。(Michael Ross, Amazon.com)