楽しい芸能史+自伝
★★★★★
映画の歴史を、
ほとんど生で体験してきた
双葉さんの芸能見聞記、
とでもいった本。
もともとやわらかい文体で書く人だけど、
語りおろしのこの本では、
いい感じで、ライブ感が出ている。
ちょっと隣のおじいちゃんに、
懐かしい映画の話をきいているといった具合。
映画やレビューなどの話も満載だけど、
ちらっと出てくる
226事件のときに、住友で社内アナウンスをした話や、
兵隊として出むいた新潟で、終戦後、
「兵隊文庫」を見つけた話、
銀座で兵隊文庫を売る露天が出ていた話などなど、
当時の風俗がよくわかって面白かったです。
学生時代に、
「横っ跳びとは何と卑怯未練な」なんて、
高跳びのベリーロールを評していた、
ことなんかは、そのときに経験した
人でなければ書けません。
写真のキャプションに、
「双葉さんが…」というのが何箇所かあるのですが、
本の作り手も、読者とおんなじ目線で、
双葉さんに接しているようで、
これもまたよいです。