ボーン・イエスタディ [DVD]
価格: ¥1,480
アカデミー賞を受賞したジュディ・ホリデイの演技は、1950年製作のすばらしいコメディ作品『ボーン・イエスタディ』の見所のひとつでしかない。同作品は、見事なまでにウィットに富んだ脚本( ガーソン・ケニンのブロードウェイでのロングラン・ヒット作をもとにしている)とジョージ・キューカーの洗練されたよどみない演出も高く評価されている。ホリデイは、政府に影響力を与えるような大物になりたいと思っている廃品回収業者の大富豪(ブロデリック・クロフォード)の婚約者で、自堕落なビリー・ドーンを演じる。堕落した男クロフォードは、ビリーにきちんとした教養を身につけさせるためにワシントンのジャーナリスト(ウィリアム・ホールデン)を雇い、一見頭の鈍そうなビリーに短期集中レッスンをさせるのだ。政治や歴史や文学、そして予想とおり、真実の愛についての授業をだ。当然ながら、ビリーは見た目とは違いむしろ賢く、やがて夫の政治への野心のために利用されるコマから生き生きとしたクイーンへと変わっていくのだ。
『ボーン・イエスタデイ』を観ることは、それ自体が短期集中レッスン、アメリカのコメディ映画が、こうしたトップの高みからどれだけ落下してしまったかを知ることができるだろう。この作品は素晴らしい脚本によるセリフがない時ですら笑わせる。たとえば抜群に喜劇的なトランプのジンラミーの勝負で、ホリデイがクロフォードの忍耐力を試す場面などだ。ホリデイ(ブロードウェイでも同じ役を演じた)が完璧ではないシーンはただのひとつもなく、彼女の頭の悪そうな表現や下品でかん高い歓声の裏で、歯車がなめらかに回っているのだ。例によって穏やかなホールデンは彼女の運命の恋人で、クロフォードは間抜け過ぎて真に悪意を持つ人間にはなりきれない嫌われ者役だ。この3人をあわせると時代を越えた名作となり、あまりにも完璧で1993年のリメイクは一目で見劣りするものとなってしまった。(Jeff Shannon, Amazon.com)