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日本の聖域(サンクチュアリ)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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鬱々とした気持ちになるが良書 ★★★★★
 ずいぶんと新しい話まで入っていてびっくりした。
 結局、日本では、日の当たらないところで自浄作用が起こらず、変なことが随分起こっているという話で、基本的には全く同感だ。
 本書の内容を大きく括れば、医療、福祉、食品、労働、すなわち、役所で言えば、厚生労働省や農水省の分野(あと、敢えて言えば警察)に問題が集中しているように見える。独立行政法人の話も含めて、なかなか目が届きにくく、利権構造が複雑という共通要素があるのだろうか。
 改革派の舛添大臣とかがいなくなった後、事態は進展しているのだろうか?そうでないなら、今の人事は妥当なのだろうか?
 むしろ、今後追加的に行われる事業仕分けに期待すべきなのだろうか(既に取り上げられたものもある)。

 取り上げられている話で強烈なものは、「「人工透析ビジネス」の内幕」、「児童相談所」、「学生のいない学校「国連大学」」、「無きに等しい「検屍制度」」、「食品安全委員会」である。
 他にも、「都立松沢病院」や「国立がんセンター」の話も知らなかった話である。「日本相撲協会」の話も、現在の惨状を十分予期できたことを本書は示していると思う。
 
 人工透析ビジネスの話は、相当衝撃的である。つまり、透析の要否について判断基準が曖昧で、本来必要でない患者まで透析が行われ、それが紹介する病院と透析センターの間で利権になっているという話である。また、従来の治療法(透析効率を上げるため血圧を上げる)というのは間違いだったということらしい。
 児童相談所の話も、父娘間の近親レイプ被害が相当あるのに、これを阻止する体制(児童相談所)が弱く、かつ保護する体制(情緒障害児短期治療施設)が全然ダメという悲惨な話である。このような被害者を社会はうち捨てていいのだろうかとの猜疑にさいなまれる話である。
 国連大学(日本政府は年12億円拠出)は、丼勘定にむらがる冗費・利権の話、検屍は、「異状死」15万件以上で検視官が現場に赴いたのは2割。検屍官が質量とも不足という話。
 食品安全委員会は、科学的という名の下に、国民に必要な情報を提供できておらず存在意義が認められないという話である。牛肉の関税が特定財源のように使われているという話も社会の閉塞感・絶望感を募らせる。

 なお、勉強になるのは「企業監査役」の話である。日本の制度では、社長が監査役を指名する。
 しかし、金融商品取引法の改正で、監査法人は不祥事を監査役に通知することを義務づけており、会社がきちっとした対応を取らないと、金融庁に報告する必要があるらしい。
 これで、監査役が適切な対応を取らなかった場合に、株主訴訟が起これば、監査役も責任を免れないため、監査役の今後の活躍が期待されるという数少ない明るい話である。
先日の事業仕分けで話題となった交通安全協会の「交通の教則」や、いま不祥事の真っ最中の日本相撲協会にも切り込んでおり、本書の取材能力の高さを感じさせる。 ★★★★☆
本書は「選択」という雑誌に連載された記事を加筆修正したものである。
この国にある組織内部の者から見て「聖域」とされている組織の実態が明らかにされ、興味深い。

その多くは、やはりというべきか役所ないしはその関連機関の多く俎上に上がっている。
なかでも、医療に関する項目が多いことに、この分野での利権の大きさとゆがんだ構造に考えさせられる。

また、先日の事業仕分けで話題となった交通安全協会の「交通の教則」や、いま不祥事の真っ最中の日本相撲協会にも切り込んでおり、本書の取材能力の高さを感じさせる。

今後とも、このような切り口で、無駄や利権の温床にメスを入れていくことに期待したい。
知らないことが一杯! ★★★★★
* 警察や検察が逮捕権を行使するときに裁判所の令状が必要なのに、入管は地方入管局長と次長が収容令書を発付できる
* 生保会社がお手盛りの関係者だけの総代会を最高意志決定機関としていけるのは、相互会社という形式をとっているからだが、それは公職追放となった旧日本生命の社長が弟を世襲の社長に据えたかったから
* 人工透析は国が膨大な医療費を負担しているために、病院経営にとっては生命線になっており、透析液メーカーとつるんだ医師たちは腎臓病患者を治そうとしない
*東京・青山の国連大学に学生はおらず、外務省が国連への送金によって為替差益を得る道具と化している。また、銀行に手数料として30倍も払っている
*刑事裁判の有罪率は99.9%だが、残り0.1%の無罪判決も検察側に配慮した東京高裁が逆転有罪としてしまうケースが多い。公判請求率が4%から7%に上がっている現在、裁判所の検察チェック機能は摩滅している

 などなど、知らない話が一杯。このほかにも、法務省というのは特殊な官庁で、事務次官は検事総長、最高検次長、東京高検検事長に次ぐ第四の男でしかないうのも知りませんでした。
嗚呼、壊れ往く日本・・・ ★★★★★
月刊誌「選択」創刊号以来の名物連載から精選された記事26編。食と健康、安全といった切り口で、いまだ厳然と存在するわが国の暗部や政治的・経済的癒着の構図、官僚組織の病理などを切れ味鋭く抉り出し、あたかも良質なドキュメンタリー番組を観ているかのよう。それにしても、内容的に農林水産省、厚生労働省、法務省がらみの記事の多さが目を惹くが、これらの官庁は一体どうなっているのか。

「ドメスチックな権益保護だけで役所の階段を上り詰めた人物が、国際金融の舞台で大きな実績をあげられるほど世界は甘くない」(106頁)。
「「国連大学」には見えない部分が多い。・・・ 施設費の二重払い、職員の常識はずれな高額給与、悪名を馳せた議員年金より手厚い年金制度など枚挙にいとまがない。この闇はさらに深いかもしれない」(117頁)。
(裁判員制度の)「対象となるのは地裁の一部事件のみであり、東京高裁という堅固な官僚司法の砦は揺るがない」(144頁)。
(裁判員裁判の下では)「数日の公判で結論を下すので、長い時間をかけて公判鑑定を行う余裕はない」(253頁)。

「社会全体に広がる事なかれ主義」(95頁)が更に増殖し蔓延するいま、事態の改善に動かない関係者は、もはや不作為による共犯であるとさえ云えよう。もはや其処彼処で政治的・経済的・社会的に機能不全が起き、壊れかけのラジオと化しつつあるわが国の状況が大変よく理解できる一書である。
組織や制度のアンタッチャブルを白日の下に晒す ★★★★☆
上記の触れ込み通り、結構突っ込んだ内容になっています。

その内容からか、この「選択」編集部 執筆人はマスコミ界を横断し
一流多彩だが、すべて匿名としている。となっています。
内容を読むかぎり、かなりその道に精通した執筆人なのでしょう。

基本的に官僚批判、組織・業界批判が大半を占めます。

私が読んでも当然全てを理解することは出来ません。
表面的な部分では納得出来ますが、その背景を知らなければ
単なる空虚な批判で終わってしまいそうです。

そういった意味でもこれらに精通した人々に読んでもらいたい本。


その一部内容は以下の通り(表題だけでは詳細はわからないと思います)

●入管管理局------知られざる光と影
●生保「総代会」------こんな「お手盛り」がなぜ許されているのか
●「人工透析ビジネス」の内幕------患者は病院で作られている
●パチンコ業界------警察利権としての30兆円産業
●厚労省の犯罪「ドラッグラグ」------助かる病人を殺している
●創価学会エリート官僚------池田御輿をかつぐ高学歴集団
●日本最大の機関投資家「農林中金」------サブプライム汚染どこまで
●学生のいない学校「国連大学」------外務省の裏金作りの道具に
●国営「穀潰し」独立行政法人------これぞ「改革偽装」の典型
●都立松沢病院------荒廃する「精神科の総本山」
●東京高等裁判所------検察べったりの「官僚司法の砦」
●無きに等しい「検視制度」------見逃される殺人事件
●日本相撲協会------何から何までカネカネカネ
●NHK------指導者不在のメディア帝国
●精神鑑定の世界------これでも日本は法治国家か