不思議なことに日本語の唯一の本
★★★☆☆
ナノコンポジットは、いわゆるナノテクノロジーの1つとして語られることが多いが、それはたまたまナノテクノロジーの隆盛という時代背景があるからであって、実際には、かなり以前から、特に日本で研究が進められてきた日本オリジナルな材料技術である。しかしながら、他の科学でもよくあるのであるが、この科学技術領域いにおいても こと入門者に判りやすい啓蒙書は皆無であった。英文で物を書くということによってのみしか評価されない科学者の悲しい現実が 原因の1つにはあるのだと思われる。その中で、本書は学術書まで含めて、ほとんど唯一のナノコンポジットに関する日本語の本である。内容的に やや 羅列的な色彩が強いのが 気にかかるが、兎にも角にも 我々日本人が もっとも理解する速度の速い言語で書かれた、日本オリジナルな新材料に関する本である。まずはともあれ、読まれることをお勧めする。羅列的な内容であるということは、おおよそこの業界のトレンドは網羅されていると言うことでもあるのだ。