圧倒的迫力と感動。涙なくしては読めない。
ただあえて苦言を呈するならば、日本全国が、昭和30年代、40年代の話に涙していてどうする、という気がしなくもない。かつての日本の、今や既に失われてしまった若さ、無鉄砲、思い込み、勢い、気概、意気、志、無私の精神、仲間意識・・・etcというものに、集団懐古趣味に襲われているという気もする。今これがon goingで行われている国だってあるのに。今のアジアの新進の国々を見ていて、既に、若者をまぶしく見つめる老人の目になってしまっている日本を（自分自身を）感じずにはおれない。

さまざまな「ものづくり」のプロジェクトを探るノンフィクション。
この本を読んでから、普段なにげなく見ているモノを見る目が変わった。どんなものでも、この本にあるような無名のサラリーマンたちの情熱が詰まっていると思えるようになった。

会社の一員として日々働いている中で、この本との出会いは私の
人生観を大きく変えました。何事も一生懸命に最善をつくす。
誰のためでなく自分のために。自分が信じたもの描いたもの
を形に残す。そのための努力を惜しまない、寝るひまを惜しまない
そんな開発者たちの姿に感動しました。不況の中の日本で今欠けて

いるもの、一番大切なことを教えられた気がします。自分も大きなことは
出来ないかもしれないが、何か夢中になってがんばってみたい。

達成できる目標を立ててよいのか？

最近の仕事に対する疑問です。この本に登場するすべての人がだす答えはNOでしょう。確かに何でも手に入るようになった今では、がんばらなくてもそれなりの結果は待っています。自分を含め、そんな時代に甘えている人々にぜひ読んでほしいシリーズです。すべて過去の偉業ですから、成功したことはわかっています。でも、興奮して読みつづけてしまう。事実は小説より奇なりとはよく言ったものです。

がれきの山でうもれていた終戦直後の日本。そこには、戦災からの復興を願い、また未来に夢を託すために必死で一つの「プロジェクト」に自らの人生をかけた多くの技術者達の姿があった。今の日本があるのはこういった人達の惜しみない努力があったと言っても過言ではないと思います。この本にはそういった人達の苦労が記されています。「私たちが恩恵を受けているものにはこんな苦労が．．．」と思ってしまうほど新しい発見があります。エンディングの部分だけ読んでもきっと感動します。