たいていの企業はよいマーケティングを行う指針を持っていない。起業家マーク・スティーブンス（『Extreme Management』の著者）は、見た目のスマートさとは裏腹のいささか騒々しい著書のなかでこう述べる。彼によれば、企業にとって必要なのは「極端なマーケティング（extreme marketing）」の原則である。この原則のもとでは、「利潤戦略（return-stragegies）」を通して、資金は1ドル残さず戦略のなかに位置づけられ、どの1ドルも全体の計画の一端として1ドル以上の額をもたらす。読みやすく、読者の考えを引き出さずにおかない、そして、激昂した語り口の散在する著書のなかで、スティーブンスはこの「利潤戦略」の話を展開する。彼はマーケターの「伝統の知恵」を節度を欠くほどに笑い飛ばし、大変革の数々を提案する。たとえば、効果を証明できないマーケティングは全廃せよ、競合会社のマーケティングを基準にするな、主力グループの手柄を当てにするな、売らない売り手はクビにせよ、消費者にクロスセリング（抱き合わせ販売）せよ、ダイレクトメールを試みよ、など。これらはスティーヴンスのアイデアのほんの一部である。

 「忍耐強くあれ、容赦するな、創意工夫せよ、直観に逆らえ、チャレンジせよ、闘志を燃やせ、うまく駆け引きせよ」などの訓戒を突きつけらて、読者は、「言うだけなら簡単」と批判したくなるかもしれない。しかし、本書は、失敗に終わった広告戦略の例を逸話の形でふんだんに盛り込み、よりよいプランを豊富に紹介してもいる。かぎは計画の多様化、そしてマーケティングのテストと追跡調査である。仮にスティーヴンスの挙げる例に十分な説得力がないとしても（本当はあるべきだが）、このテーマにかける彼の情熱が読者の支持を勝ち取るかもしれない。

   結びでスティーブンスは、本書のアドバイスを実行する目途が立たないうちはオフィスに戻ってはいけないと読者を諭す。『Your Marketing Sucks』（あなたのマーケティングは失敗する）というタイトルから予想されるとおり、従来の落ち着いたビジネス指南書とは趣を異にしている。
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