上巻・下巻の後に第3巻がある?
★★★★☆
本書はガンダムから多分「逆襲のシャー」までの経過を元にしたその後の世界の話です。
「展開が遅いな」「残りのページですべての謎が明らかにできるのか」と思いながら読み進み、下巻の最後には《三巻につづく》とあってがっくり。それなら「上巻・下巻」などと紛らわしいタイトルをつけるなと思っている次第。
もっとも本書を読まれる方は先刻ご承知のことかもしれませんね。
ただ内容はうまく「史実」を継承しているように思います。
自立前の悩ましい時期
★★★★☆
ADからUCへ。約一世紀前に成立した地球連邦政府の首相官邸、軌道上に浮かぶ「ラプラス」において催された人類史に残る改暦セレモニーは、テロにより粉砕される。改暦セレモニーの華やかさとは裏腹に、人口増加問題の解決手段として計画されたコロニーへの移民計画、いや、棄民計画の対象となる"ハズレ"の人々を実行犯とするテロだった。
この実行犯の生き残りであるサイアムは、この事件の最中に後に「ラプラスの箱」と呼ばれるものを手に入れる。これを利用して社会をのし上がったサイアムは、ビスト財団を築くに至る。そして、事件から約百年。宇宙移民の子孫たちスペースノイドによる独立紛争は、長い戦乱の末に鎮圧され、地球圏には戦乱なき時代、しかし停滞する時代が訪れようとしていた。
この停滞を文明の死と捉えるサイアムは、自らの後継カーディアスを促し、「ラプラスの箱」を開放することによって、革新をもたらそうとしていた。それが戦乱を呼ぶであろうことも覚悟の上で…。
この「ラプラスの箱」を巡る戦い、そしてそれに関わることになる少年と少女の物語が始まる。
いいね、カバーイラストも、本の仕様も
★★★★★
ガンダムUCの角川文庫本。
本の仕様の評価です。
まず表紙にやられました。完全にSF小説って感じの渋いイラストです。
70年代に出版されたSF小説っぽい感じを受けました。
そして、中には一切の挿絵はありません。
あまりにも情報量の多い、福井さんの小説がそのままあります。
そして読みやすいんです、なぜか。
ガンダムUCはどちらかといえばSF色の方が勝っている作品だと思いましたので
この本の仕様は感動しました。
商魂逞しい出版社の罠の餌食といわば言え(泣き笑い。
渋い表紙なので通勤途中に読んでいても、違和感ないです。
軽いから旅行のお供にもなる。
イラストつきの他の仕様本は永久保存版として保管して、
この本をお手元で読むも良し。
不思議な感じのガンダムUC角川文庫版です。
文庫版は・・・
★★★★★
単行本でも読みましたが、文庫版はこの厚さで済んでしまうんですね。
スニーカー文庫と両方でておりますが安彦氏の絵ではないので、であれば私としては挿絵のないこちらの方がオススメです。ガンダムファンは頭の中で文章が映像に置換出来てしまうでしょうし(笑)。
10巻までの物語は、宇宙世紀の歴史を良くかみ砕いて描かれた良作かと。終盤の好みはあるでしょうが、逆襲のシャアがあのようなラストを迎えたのであれば、福井氏がそれを超えようと思えばこういう展開になっていくのも理解出来ると思います。
単行本はストーリーを追って読んでしまって分かりにくいところは流してしまった&安彦氏の表紙版は綺麗に保管しておきたいので、文庫版で細部まで読み砕きたいと思います。
新たな宇宙世紀
★★★★★
逆襲のシャアの三年後という絶妙な年代に、新しい宇宙世紀の物語が加わる。連載はすでに完結しているが、アニメ化を機に盛り上がっているガンダムUC、その文庫版発売をうれしく思う。とにかくガンダムファンだけでなく、福井晴敏ファンにも読んでほしい。ガンダムを全く知らない人でも、舞台背景をこの一巻できちんと説明してくれているし、文章やキャラクターの魅力は福井氏ならではのもの。「福井晴敏の新刊」としても「宇宙世紀の新章」としても十二分に通用する素晴らしい作品。運よく一巻から順番に発売されていくようなので、アニメと合わせて読んでください。