捕らえた人間をなぶる吸血鬼達のセリフや行動は
おぞましいまでにリアルで生々しい。
それと対比を為すように、吸血鬼と戦う主人公達の互いを
思いやる心は、時に痛いほどにやさしく、当たり前の人間の
善良さと愛情深さにみちあふれている。
邪鬼に襲われるさなか、うっかりと逃げ遅れた赤ん坊を
拾ってしまい、邪鬼に赤ん坊の泣き声を聞きつけられるのを
恐れながら、(見殺しにしたほうがはるかにラクだろうに)
逃げ隠れすることしかできない自分の無力さ臆病さに
歯噛みして泣きながら、それでも泣いている赤ん坊を
あやしてしまう加藤。
亡者に変えられ、もはや救うべくもない幼馴染みを前にして
ごく普通の友達同士だった昔のように、面白い「お話」を
とめどなく話して聞かせる明。
そして雅に捕らわれた弟を救うために持てるすべてを投げうつ兄。
「吸血鬼とは違う。人間とは決して仲間を見捨てない生き物だ」
はっきりいって怖いしグロいし、一度読んだら二日は再読したく
ないが(そして二日後にまたむさぼるように一気読みしてしまう)
この作品には恐ろしさ、おぞましさを超えたなにかがある。
追いつめられた最後の最後のきわでも、人間はあきらめることなく
”善”であり得るのかもしれない。
創作物を読んで初めてそう思った。
邪鬼に襲われるさなか、うっかりと逃げ遅れた赤ん坊を
拾ってしまい、邪鬼に赤ん坊の泣き声を聞きつけられるのを
恐れながら、(見殺しにしたほうがはるかにラクだろうに)
逃げ隠れすることしかできない自分の無力さ臆病さに
歯噛みして泣きながら、それでも泣いている赤ん坊を
あやしてしまう加藤。
亡者に変えられ、もはや救うべくもない幼馴染みを前にして
ごく普通の友達同士だった昔のように、面白い「お話」を
とめどなく話して聞かせる明。
そして雅に捕らわれた弟を救うために持てるすべてを投げうつ兄。
「吸血鬼とは違う。人間とは決して仲間を見捨てない生き物だ」
はっきりいって怖いしグロいし、一度読んだら二日は再読したく
ないが(そして二日後にまたむさぼるように一気読みしてしまう)
この作品には恐ろしさ、おぞましさを超えたなにかがある。
追いつめられた最後の最後のきわでも、人間はあきらめることなく
”善”であり得るのかもしれない。
創作物を読んで初めてそう思った。
捕らえた人間たちをなぶる吸血鬼たちのセリフや行動は
おぞましいまでにリアルで生々しい。
それと対比を為すように、吸血鬼と戦う主人公たちの互いを
思いやる心は、時に痛いほどやさしく、当たり前の人間の
善良さと愛情深さにみちあふれている。
邪鬼に襲われるさなか、うっかりと逃げ遅れた赤ん坊を
拾ってしまい、赤ん坊の泣き声を邪鬼に聞きつけられるのを
恐れながら(見殺しにしたほうがはるかにラクだろうに)
逃げ隠れすることしかできない自分の無力さ臆病さに
歯噛みして泣きながら、それでも泣いている赤ん坊を
あやしてしまう加藤。
亡者に変えられ、もはや救うべくもない幼馴染みを前にして、
ごく普通の友達同士だった昔のように、面白い「お話」を
とめどなく話して聞かせる明。
そして雅に捕らわれた弟を救うために持てるすべてを投げうつ兄。
「吸血鬼とは違う。人間とは決して仲間を見捨てない生き物だ」
はっきりいって怖いしグロいし、一度読んだら二日は再読したく
ないが(そして二日後にまたむさぼるように一気読みしてしまう)
この作品には恐ろしさ、おぞましさを超えたなにかがある。
追いつめられた最後の最後のきわでも、人間はあきらめることなく
”善”であり得るのかもしれない。
創作物を読んで初めてそう思った。