賞味期限が切れています
★★☆☆☆
AVの舞台裏、作成秘話といったこの著者の得意とする話です。
そこで、
「近ごろ、怪しげな見開き二ページの広告をあちこちの雑誌で見かける」(P152)のだそうで、それは〈ビデオ安売王〉の話でなのですが、その「近ごろ」はいつのこと? と、つい突っ込みたくなります。
「ビデ倫の審査基準はいまでもヘアは厳しく規制されたままだ」(P171)の「いま」とは、一体いつの「いま」なのでしょうか? 少なくとも「いま」の「いま」ではないな。
「一九九四年のいま、男の機能を劇的に回復させる精力剤はおそらく二十一世紀を待たないと無理だろうと言われている」(P122)とあるわけで、バイアグラはその当時存在していなかったのでしょうね。〈書きおろし作品〉なのですが、その原稿はどれも10年から15年ほど前の「書きおろし」のハズ。その内容からして、本来なら十年以上前に出版されているはすの本だったのですが、それが今になって書き直しもないまま世に出てきたのです、たぶん。「内容紹介」に「21世紀の現在まで」とあるのは間違いです。昔の話を、21世紀の現在の視点が抜け落ちているものだから、十数年前の古い雑誌の連載記事をそのまま読んでいる気分になります。
いま辛く苦しんでいるすべての人々よ この本を読め!
★★★★★
撮影の最中、何度でも陰茎が勃起するチョコボール向井に筆者は聴いている。
「なんでそんなに起つんですか?」向井の返答はシンプルだった。
「なにも考えていないからですよ」。一瞬、爆笑、しかし、しばらくしてこの言葉は深い言葉だと思った。この言葉が、この本の中に登場する人々すべてに共通している。
人間誰しも、倒れたら立ち上がる。何も考えていなくとも、何度でも立ち上がるのが人間の性、本能だ。
ところが、中には立ち上がることが出来なくなってしまう人々もいることも事実だ。年間3万人を超えるという自殺を選択してしまう人々だ。確かに嫌なことが次々と重なり、弱気になり、経済的にも追い詰められると「死んだほうがマシだ、死んだほうが楽だ」と考えてしまうこともある。僕自身も何度そう思ったことだろうか……。
しかし帯文にあるこの本に登場してくる「悩ましき人々」、テリー伊藤、村西とおる、代々木忠……という人々は、なんどでも打ちのめされ、それでも立ち上がり、戦う。なんでこんなに強いのだろう?ふっと考えてしまった。そこで、向井の言葉が思い浮かんでくる。「なにも考えるな!」と。
過去に読んだ成功した企業家やスポーツ選手、あるいは自己啓発本などより、この本は僕を奮い立たせてくれた。考えるな!立ち上がれ!読書の最中、何度か勃起した。それはAVの撮影場面が細やかなタッチで描かれているからではない。性、本能が刺激されたからだ。
薬品で体を刺激させ勃起させるというバイアグラなんかより、この本を読んで性、本能の刺激を受けるべきだ。
今、つらく、苦しんでいる人は、この本を読め!そうすればあなたは絶対に立ち上がることが出来る!