NHK職員の世間知らずののほほん体質が全開
★★★☆☆
退職金の「利息」を「老後の生活設計の中心に置く」つもりだったのに利息が安すぎて・・・と前書きで嘆いたり
ジョージ・ソロスに質問事項を添えて取材依頼したら秘書に「その質問については○年前の貴社のインタビューですでに答えてるからアーカイブ探してみろ」と言われたり
6,7人で金融のプロに会いに行って「日経平均」の意味を聴いたり(第2巻)
と、とにかくNHK職員の世間知らずののほほん体質が全開で、受信料を払ってる身としてはだんだん腹が立ってきます。
でもまあ、(事実上の)国営放送の看板が効いて多くの大物にインタビューしてるんで(しかもアジア通貨危機というグッドタイミングに)、じゅうぶん読む価値はあります。
読み易い金融入門書
★★★★☆
NHKの「マネー革命」3シリーズの第1巻。
このシリーズは「金融の素人のNHKスタッフが悪戦苦闘しながら金融の概要を素人にも解るよう解明していく・・また、その過程でスタッフ自らも読者と一緒に成長していく・・」という内容のもの。
金融商品の複雑な詳細を説明するのではなく、金融に携わった人々の人生ドラマを通して初心者が概要を学ぶ事ができる構成になっており非常に読み易い。インタビューにもページの多くを割いている事が全体にリアリティと緊迫感を与え物語のドラマ性をより強くしている。
但しこの本は3シリーズの1作目という事からか、まだ文章や構成に若干こなれていない感があり、金融用語に対する説明は2作目に比べ雑なところが目につく。エンターテイメント性も2巻と比較すると若干落ちる。しかしそれでも後半はぐいぐい引き込まれ充分に金融を通した人間ドラマを堪能できる。
金融にちょっと興味があるなぁという方にはお勧めのシリーズです。
いま読んでもマネー世界の理解に役立つ
★★★★★
1998年に放送されたNHKスペシャル「マネー革命」のブック版。
(1)は「巨大ヘッジファンドの攻防」。放送時のおもしろさもさることながら、
この番組取材がいかにして成し遂げられたのか、克明に書かれており、
取材のノウハウ本としても貴重。
ビクター・ニーダーフォッファーへの取材とその詳細は驚くほどにドラマチック。
底の浅いインタビューにガッカリ。投資本としては☆3つ。
★★★☆☆
株取引で190億円以上の個人資産を築いた「ジェイコム男」ことBNF氏が、本書で紹介されている米国の投資家ビクター・ニーダーホッファーのことを「天才」と呼んでいたので、興味を持ち、本書を読みました。他のレビュアーの方々の評価も高かったので、期待して読みましたが、著者が行ったインタビューのレベルの低さにガッカリ。著者自身は高尚(陳腐?)なジャーナリズム論を引き合いに、ビクターに対して質の高いインタビューが出来たと自画自賛しているのですが、それはちょっと自意識過剰の勘違いだと思います。率直な感想として、ビクターは著者の質問レベルの低さにあきれて、話を適当に受け流していると感じました。実際、株を始めたばかりの高校生の方がもっと気の利いた質問するだろう、という印象。
また、著者ら製作スタッフが尊大な態度で「自分達は素人だから」と開き直っている面があるのにも、不快感を感じます。振り返ってみれば、全編を通して、投資家という視点からではなく、所詮は面白半分の野次馬的な視点から製作している内容です。とはいえ、マスコミの作るストーリーに対して、投資本としてレベルの高い内容を期待した私自身が未熟だったのかもしれません。一応、ビクター・ニーダーホッファーに関して日本語で読める書籍は多くないので、彼がどんな人物像かを大まかに知る上では有益な本。事実ビクター自身は、BNF氏の高評価に値するスーパー・トレーダーですので。
20世紀の金融市場の歴史を顧みる傑作の第1巻
★★★★★
ファイナンスを集中的に学ぶ上で、私がもっとも苦労したのがデリバティブです。基本的には先物取引、先渡取引、SWAP、オプションですが、現代の金融市場ではこれらが複雑に絡み合い合成された金融商品が取引され、門外漢にはどういう取引形態なのか、どういう商品なのか理解に苦しむことがままあります。本書を通じて、こういった理論が現実の金融市場や商品市場でどのように使われ、どのような人々が運用し、どのような結果が世界の市場にもたらされたかをつぶさに見ることが出来ます。
本書のシリーズは全三巻で、これはその一巻目にあたります。そのせいでしょうか、NHKのスタッフ陣も業界を理解するために、学び始めたばかりの様子が目に浮かびます。そういうスタッフ陣が少しづつ理解していくのを読者は同じように追うことが出来ます。あたかも取材スタッフの一人になったかのように錯覚しつつ。非常に臨場感あふれる書かれ
方です。
これは9年前の最新状況ですから、進歩の早い現代の金融業ではかならずしもこれらの内容が当てはまるとは限りません。が、ある時点で一旦過去を振り返り、これまでの道程そしてこれからの予想図を考えることは一定の価値があると思います。
金融の素人はもちろん金融関係者でも学べる点は十分ある一冊だと思います。是非、ご一読を。