カナダのパワー・トリオ、トライアンフ。彼らの存在は、口汚い批評家たちの思い出からは消えてしまったかもしれない。しかし、本作『Night of Triumph Live』が証明しているように、この過小評価されているバンドは、彼らより長続きしている同世代のライバルたちに劣らぬ実力を持っていた。観客席を埋め尽くした、1万人に及ぶ忠実なファンたちは、そのことを承知していたはずだ。この克明に記録されたコンサートは、1987年1月16日、ノヴァ・スコシア州ハリファックスのメトロ・センター・アリーナでビデオテープに収められた。時期的には、結成から12年目、大成功を収めたLP『Allied Forces』から6年目、そして解散のわずか1年前にあたる。当時のトライアンフ（リード・ギタリスト / ボーカリストのリック・エメット、ドラマー / ボーカリストのギル・ムーア、ベーシスト / キーボーディストのマイク・レヴァインに加え、ゲスト・メンバーとしてリック・サンターがキーボード、ボーカルのバックアップで参加）は、1986年にリリースしたアルバム『The Sport of Kings』のプロモーションのために多忙なツアーをこなしており、最高のコンディションにあった。ド派手なステージは、多才なミュージシャンシップを発揮する彼らにぴったり。ギンギラギンの舞台照明が、いかにも80年代的な過剰さを感じさせる（ムーアに言わせれば“NGF”、すなわち“思わず息をのむような要素”だ）。とはいえ、音楽自体の影が薄くなることは決してない。ラジオでヒットした「Magic Power」が色あせぬ魅力を放っていることは、にわかファンでさえ異論のないところだろう。トライアンフが最盛期を迎えていた80年代半ばにティーンエイジャーだったファンなら、この曲のポジティヴな雰囲気に魂を揺さぶられるのではないだろうか。さらに素晴らしいことに、すべてのメンバーが華々しいパフォーマンスを繰り広げるこの82分間のギグは、見事にリマスターされ、3つのオーディオ・オプションで楽しむことができる。5.1chミックス（DTSおよびドルビー・デジタル）は臨場感満点だ。トライアンフは消滅してしまったが（1988年にエメットが脱退し、バンドは復活不可能になった）、この感動的なDVDはこう確信させてくれる――彼らが忘れ去られることは絶対にない、と。（Jeff Shannon, Amazon.com）