古典分析理論から対象関係論への流れがつかめる良書
★★★★★
著者たちについて全く無知のまま読み始めたが、重要な理論家の思想と理論のエッセンスが相当の学識と曇りの無いバランス感覚に基き叙述されておりラインマーカーを引きながら繰り返し読む価値がある本だと思う。精神分析学者の主流派だと自任する人たちの本を読むとあからさまな党派意識による表現に出くわし本を閉じたくなることがあるが、(小此木啓吾氏のライヒに対する態度など)この本の著者たちの叙述にはさわやかな開放感がある。特に教えられた箇所はフェアバーンについて述べている部分で、対象関係希求性がリビドーの傾向性を規定するということの意味が初めて納得できた気がする。高価な本なのが残念。