あの日の空に踵を鳴らせ
価格: ¥2,625
ある音楽を目指すのでなく、自分の武器として歌やギターがいちばん近いところにあった――ギターロックという呼び名はもういい。透明感と攻撃性を同時に響かせることでは突出したバンドだが、この1stアルバムにたどり着くまでにずいぶん音楽的にタフになった印象がある。でも共通するのは、たとえば議論の果ての虚無だったり、高層ビルに切り取られたイビツな空の形と月の対比だったり、焦燥と諦めで迎えた明け方の空の青だったり、要は漫然と結果の出ない毎日の中でもビビッドにあらゆるものを感知する、ある意味手ごわい自分自身の姿。そんな性根を蹴り上げながら、どこへゆくのか分からない心そのままの自由なメロディ、といったたたずまいが沁みる。(石角友香)