圧巻!
★★★★★
圧巻の参考書です。おそらく中学生を対象にした理科の学習参考書の中で最高水準の出来栄えと思われます。
理科のテストは、公式を理解して、覚えて、使えるようにした上で、
問題文を読んで、未知数を設定したり、数値をはめ込んでいく上で解きます。ここでどうしてもプロセスを飛ばして公式暗記や、項目の暗記に走り勝ちなのですが、この参考書はこれを極力排除しています。
自然科学の基本は、仮説を設定して、実験を段取りして、実行して、
結果を考察して、結論を出す(うそかまことか確かめる)ということの繰り返しです。
この参考書は、この基本に忠実に、一つ一つの学習事項について、実験の設定、その実験をやった結果、その結果の考察から言える事は何かという順序にそって叙述が進められております。
「覚えるのではなく、理解する」という理想に忠実なのです。そして
物質についての項目などで明らかですが、様々な物質の性質を知ることと、それが現実の工業生産のシステムの構築とどういう関連性があるのかということにまで、目が行き届いている点で、この参考書は、もはや
大学への招待という面をももっているのです。資料提供されている会社が日本の名だたるメーカーだというのもうなづけます。
そして、これは私の予想ですが、現在の中学入試における理科はこれを
しっかり読んでおけば、解けるのではないかと思います。
ひょっとしたらこれが種本かもしれません。中学入試の問題作成者が
入学してくる生徒に求めたいであろう理科のセンスを試せる叙述が
たくさんある上に、このレベルを叩き込んでおいてくれたら、先生として理科を教えるのもさぞかし楽であろうからです。
中学入試の実態が、中学、高校における理数科目の予習(なぜなら有名大学に行って欲しいから)だという点でもかなりこの仮説はあたっているような気がします。
あえて注文をつけるとすれば、インターネットもこれだけ普及したし、
改訂をしたほうがいいような気がします(^^)