本作の録音にあたって、マーキー・ラモーンと元ブラック・フラッグのギタリストであるDez Cadenaを仲間に加えたオンリーは、いつもは愛すべきホラー映画風グロテスク趣味を発揮するバンドに自分が影響を受けた50~60年代の音楽を演奏させ、一風変わったコレクションに仕上げている。アイロニーの時代は終わったのにと思う間もあらばこそ、オンリーはアイロニーの不滅を朗々と歌い上げていくのだ。それに拍車をかけるのが熱のこもった演奏で、ジェイ & アメリカンズの「This Magic Moment」、ポール・アンカの他愛なさが魅力的な「Diana」、コンウェイ・トゥイッティの「Only Make Believe」は聴きものだ。このように“Do It Yourself(自分でやろう)”的な熱意をもったアルバムには、やはり好感を抱かずにはいられない。オンリーはそれぞれの曲に文章でもトリビュートを捧げているし、図解入りで全6ページの音楽解説も書いているが、その中で彼は本作が単なる「ロックン・ロール名曲集」であることを強調している。また、ボーナスDVDが1枚付いており、ライヴ映像やヴィデオをたっぷりと楽しめる(ミスフィッツの5曲に加え、彼らのレーベル・メイトである日本のグール・ロック・バンド、BALZACをフィーチャーした曲もいくつか収録)。(Jerry McCulley, Amazon.com)