秋本武士とのユニット、レベル・ファミリアでも活動するゴス・トラッドのソロ2作目。サンプラーや自作楽器などを使い、ブリストル系を思わせる地を這うようなベース音と、その上で縦横無尽に暴れまくるインダストリアルなノイズによって、ケイオティックな音像を作り上げている。全9曲約69分でひとつの流れがあり、随所で現代音楽やダブの手法を取り入れて変化に富み、最後は静謐なサイン・ウェイヴで不気味に終わるのだが、どの曲にも隅々まで、彼の悪意ともいえる挑発的な匂いが漲っていて圧倒される。聴く者の最も暗黒な部分をえぐり出すような音楽であり、現代社会への警告と受け取ることも可能だろう。明確な意志をもった唯一無二のノイズ・ミュージックだ。（小山 守）