NHK「詩のボクシング」の2002年全国大会で優勝を果たしたことで一躍有名になった倉地久美夫の、4年半ぶりとなるソロ名義4作目。つげ義春を思わせる、日本的な情念や不条理が渦巻く歪みまくった詩の世界、野太い声で叫ぶように歌う独特の歌唱法、それに菊地成孔(sax)と外山明(Ds)によるフリー・ジャズ的な即興演奏が加わり、唯一無二のスタイルを築いていて圧倒される。
ほぼ声だけのポエトリー・リーディングがあったり、ブルージーなギター・ソロ・インストもあったりと、その形態も自在だが、やはり菊地と外山の縦横無尽な演奏と倉地のヴォイスとの絡みがたまらなくスリリング。真にアヴァンギャルドな表現者といえるだろう。(小山 守)