『Electric Version』は、うれしいことに、前作と大きく変わってはいない。総タイムにあたる45分間、このアルバムの威力は一度も緩むことがない。まるでおいしい物を食べさせてもらう時のように、忘れがたいチューンの数々を心ゆくまで味わえる。それらの中には、プログレ、ニュー・ウェイヴ、ブリティッシュ・インヴェイジョンの残響が聴き取れるはずだ。歌詞はおバカで楽しいし、プロダクションはステレオ効果をフルに引き出してくれるし(ウィルコやフレーミング・リップスのもっとも上出来でアップビートなトラックと同様の感触)、ヴォーカルはメンバーが交代で担当しているので飽きがこない。アルバムが進むに従い、曲の質は上がっていく一方だ。中でも「Chump Change」、「Ballad of a Comeback Kid」、「July Jones」の3曲は際立っている。どうやら、このインディーズ系スーパー・グループは、後世に残るロックを生み出しつつあるようだ…それも、今という時代に。(Jason Verlinde, Amazon.com)