本当に「最新」か
★★☆☆☆
稲作は朝鮮半島を経由して日本に入ってきたとして、それ以外の説が紹介されていないが、「最新」の学説は朝鮮半島経由と言うことで決定なのであろうか?
古代史とは関係なく、「人間は武器を持つから戦争をする」と言う自説が述べられるが、本末転倒ではないか。初め素手で戦っていたのが、やがて石や棍棒を使うようになり、その延長上に核兵器があるのではないのだろうか。
上記のようなことが気にかかり、本著者の説はどこまで信頼できるのか、との疑念を抱いてしまったのが正直なところである。
古代史の面白さを読みやすくまとめた本
★★★★☆
近年の古代史研究成果を踏まえて、新たにわかったことは何か、未だわからないことは何か、かいつまんで紹介する好著。単なる要約にとどまらず、著者ならではの新知見も加味されており興味深い。特に古代における朝鮮半島情勢との密接な関わりについての言及は、従来あまり知られていないことが多く、とても参考になった。またイラスト・図表類も豊富で、わかりやすく工夫されており面白く読めた。
日本史が苦手で受験で世界史を選んでしまった人に!
★★★★★
古代史という分野への感心の高低は、教科書で学んだか、お寺や遺跡などの生の情報に触れたかでかなり異なると思います。
本書で紹介する日本古代史は、私のように教科書でちらっとみて「うーん、名前が難しいし、わけがわからない」というような多くの日本人にとって、目を見開かされる内容でした。(ちなみに私は今でこそ日本史好きですが、それで世界史を受験しました)
世界遺産が大好きな日本人ですが、あしもとにこれほど魅力的な古代史コンテンツが眠っていたことに驚きました。実際、私は奈良の平城宮を観光したとき、その隣のイトーヨーカドーもお弁当を買いにいったのですが、ここの下に、日本初の怨霊が住んでいたなんて!行く前に読みたかったです。
(怨霊好き?なので長屋王の名前は知っていたけどまさかスーパーの下だとは)
本書の著者は旅行と歴史をミックスするという活動をされているようですが、本書は旅行ガイドではありません。どちらかというと色々な歴史の謎をとく古代史入門書です。それでも、読んでいくうちに、「ここに書かれているところを自分も本当かどうか確かめに見に行きたい」と思ってしまいます。
学説なども取り上げられていますが、学者や作家などの上から目線ではなく、読者の視点で書かれています。そのため読者も、著者が歩いて、文献を調べて、たどり着いた思考の道程を追体験することになります。
歴史って、選ばれた人のためのものでないのだな
自分も旅をしながら自分の祖先たちの謎を解けるのではないかな
などと、想像させてくれた本でした。
教科書の日本古代史では物足りない人に。
★★★★☆
高校までの教科書で習うような日本古代史の常識を、最新の歴史学研究と考古学とか中国史なんかから見直している。
研究の成果って言っても堅苦しくなくて読みやすいし、「〜の謎」本のように細かく項目がたっているのでとっつきやすい。通り一遍の日本史じゃ物足りない人にオススメ。
ただ、資料とか論拠になっている部分、もう少し詳しいと良かったかな。論理的なんだけど、ちと物足りない。あと「図説」っていうわりには、そんなに図説多くない。
関裕二を超える古代史の定番に
★★★★★
関裕二先生の古代史シリーズをよく読んできました。分かりやすさと意外さで、長くファンでしたが最近は繰り返しの内容が多くて論理展開も不明瞭だなあと感じていた矢先にこの本と出会いました。
歴史学と考古学の最新の成果を分かりやすい文章とイラストを交えて色々な謎がすっきりストンと理解できました。
井沢元彦の「逆説の日本史」で、歴史学の学界はとにかく保守的で新しい説を出さないみたいな批判をしていたので、そんなものかなあと思っていましたが大間違い!
この本で展開される様々なテーマとその答えは「逆説」を超越した驚くべく魅力的な説が満載です。
テレビの日本史ミステリーの種本になることは確実だと思います。
目次のタイトルを読むだけでも歴史ロマンがフツフツと湧いてきます。
今年の歴史本のベスト3に入るでしょう。ちなみにそのほか今年でたものでは磯田道史の「江戸本」も面白かったです。