「実は、小型の国語辞典で、現在、筆者がいちばん愛用しているのはこの新潮現代国語辞典だ。小型ながら、序に述べられている『著名な言語作品から実用例を求め』るという編集方針が徹底していて、文学的に、というか、『言語作品』的に、面白く読めるからである。
この面白く読めるということが、使う側からすれば辞書に期待する大きな要素だ。辞書は引いても、どうせ忘れる。だから何度でも引くことになるのだが、辞書が面白ければ何度も引くのが億劫ではない。」(p63,4)
私見で恐縮です。「小型の国語辞典」では、『新潮現代国語辞典』が確かに「面白」さで一推しの辞書ですが、「大型の国語辞典」も選択の対象に加えるならば、なんと言っても『学研国語大辞典』(ISBN4051035018、もしくは机上版のISBN4051035026)に勝るものは無いでしょう。『新潮現代国語辞典』より収録語数の点で2万3千程多いだけですが、書籍の大きさは23万の収録語数を誇る『広辞苑』と同程度あります。その用例のボリュームは他を圧します。明治以降の小説・戯曲・詩・評論・新聞から採集した用例は出典も明確にされていて、ちょっとした「詞華集」と言っても過言ではありません。そして、用例の採集は戦後にも及んでいます。
あくまでも携帯性やハンディーであることを求める向きには『新潮』を、多彩な用例をじっくり味わいたい向きには『学研』をお奨めいたします。