藤子Ｆファン必携の一冊です。手抜きのない、編集の方々の労力が注ぎ込まれた素晴らしい資料と
なっております。
藤子Ｆ作品について作品ごと、キャラクターごと、ジャンルごとに深く掘り下げた分析がされており、
藤子Ｆ全集をより楽しめるようになる本です。マイナー作品もほぼ網羅されています。
単行本化された際の加筆・修正箇所も、Ｆ先生の直筆による生原稿への指示を始め、詳しく紹介
されるなど、大変興味深い内容となっております。
こういう本が評価されないと良い本が世に出なくなってしまうと思います。強く強くお薦めできます。

Ｆ全集を全巻予約購読していたのですが、本書は別巻という扱いなので
毎月配送される冊子に含まれておらず、慌てて購入しました。

内容は、Ｆ先生の各作品の解説、キャラクターや見所の紹介がメインで
その他にもＦ先生が生涯で執筆した作品を時系列で年表にまとめたものや
カラー扉、Ｆ先生の言葉などが収録されています。
さらに、ファンの間では伝説となっていた、オバＱ最終回の欄外に書かれた
石ノ森章太郎先生のコメントが今回実際に確認され､デジタル処理で鮮明に復元された
ものが紹介されるなど、小学館の本気度が伝わってきます。
個人的には、Ｆ作品の女性キャラを一覧表にまとめ、姉←→妹　おてんば←→おしとやか
で分類したページに一番気合いを感じましたが。

作品の解説は、2010年7月の時点ではまだ刊行されていない第2期・第3期の
収録作品にまで及んでいるので、予習がてらに読むことも、また第3期が
刊行され終わったあとにもう一度楽しむこともできると思います。

『藤子・Ｆ・不二雄大全集』、第１期はとても充実した内容で大変楽しませてもらいました。

未収録作品の掲載のみならず、著名人の方々のあとがきや雑誌連載時の企画ページの収録、生前のＦ先生の
インタビューの再掲載など、その内容は“充実”などという言葉では比喩が不充分なほどのものです。編集
者の方の本作りに対する情熱が読んでいて心地好く、まるでその熱意がひしひしと伝わってくるようです。

ただ全集で気になる点を上げるとすると、本一冊あたりの定価が高いことでしょうか。分冊してもよいから、
ずいぶん前に中央公論社で出していた『藤子不二雄ランド』のように、子供でも気軽に買える値段にしてほし
かったとも思います。まあこの全集は、３０代ぐらいの大人をターゲットに出版されているそうですが……。
できれば小学校の図書室などにズラーッと並べられて、子供たちに楽しく読まれてほしいものです。Ｆ作品は
児童文学として間違いなく超一級の作品だと思いますので。

『ドラえもん』のような有名作以外はあまり売れないかもしれませんが、小学館は文化事業だとでも思ってすべ
ての作品を出版し続け、絶対に絶版作品を出さないでほしいですね。
藤子・Ｆ・不二雄氏の漫画作品は、日本が誇るべき財産ですから。

昔々の絵本を読んでいるような感じです。歴史的な資料と言っちゃうといいすぎかな？でも満足でした。