時を越えてきらりと光る一冊
★★★★★
「市民の図書館」(1970)とともに、
今日のわが国における公共図書館の流れを決定づけた一冊。
図書館界では「中小レポ−ト」と呼ばれる。
一般向けでも、単なるマニュアル本やハウツウものでもない。
そのタイトルが示すように、図書館運営にあたっての問題提起の書である。
「近代公共図書館がわが国に移入されてから、90年になる。(中略)
今日全国各地に立派な近代的建築の粋を誇る図書館が出現し、見た目は甚だ華やかである。
しかし心して見るならば、
日本の公共図書館は日本の風土に合った働きを必ずしも十分にしているわけではなく、
「地域社会の民衆との直結」という点では、
大いに反省しなくてはならない状態である。」
当時(1963)の問題意識を、
このとりまとめに当たった事務局スタッフが序でこう記している。
その後40数年の激しい社会環境の変化を経て今なお、
この書が指し示す眼差しは、輝きを失っていない。
先人のライブラリアンたちの熱き思いを少しでもくみ取れればと思う。