市民団体の実力が理解出来る
★★★★☆
日本では寄付金が少ないこともあって、NGOが大きな力を持っているようには思えないだろうが、実際には国際政治を動かす大きな力になっている。このことを本書は十分に示してくれていると思う。戦後の様々な国際条約の裏にNGOの存在があったこと、1992年の地球サミットなど、現在の環境施策の大きな流れを作ったのも実はNGOであったことなどが書かれている。日本のNGOは弱小であるが故に国際社会のあり方を決める議論に十分に参画出来ておらず、それが故に政府間交渉でも主導権を握れないのではないだろうか?環境、コンプライアンス、CSR、人権等、現在のビジネスに大きな影響を与えている項目も背後にはNGOの影が見え隠れする。日本社会はこうした議論に十分に参加出来ているとは言えず、欧米主導になってしまっているのが現実ではないか。一人でも多くの日本人が本書を読み、NGO活動への参画、支援をし、日本の声も今後の国際社会に反映されるようになってくれればと思う。