入門書としても辞書としても・・・
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海運、物流業界について調査したいときに、業界のプロ以外の私のような一般人が一番困るのは新聞記事やデータでだけでは業界、特に現場でどういうこと業務を行っているのか?どういう事象が起きているのか想像がつかないところが多いことです。普段生活している限りはコンテナ船が運んできたであろう製品に触れることこそあれどその船の航海や港のオペレーションについてはわかりません。
本書はどのページにも写真や図がついておりイメージしやすく、私のような素人にも大変わかりやすく書いてくれています。もちろん入門書としても最適ですが、辞書的な役割も十分果たしてくれると思います。
1回読んだだけではもったいない!そんな本だと思います。
ほんとうに「ビジュアルでわかる」
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このタイトルが徹底されていました。
3ページから193ページまでの間で、見開きページに写真や図がなかった部分は、わずか5箇所。
うーん、なんという図版の多さ!
どのページも興味深く読ませていただきました。
最も印象に残った部分は、今後の日本の海運業に対する問題提起でした。
日本は現在、大手業者に集約されているようですね。
この集約は、先行する国際的業者に対抗する情報戦の準備ために行われているように感じ取りました。
荷主の需要を先取りするかのような最近のロジスティクス活動。
その先端的な業務形態は、企業経営の中心部分に積極的に参加していくかのような3PL手法。
国内業者はこうした新しい傾向に対応して必要があります。
そうでもしないと、情報管理や経営実績に長けた諸外国企業に、どんどん遅れをとる危険性があります。
しかし残念ながら、日本は小規模な海運業者が圧倒的な数になっています。
この面での組織的な立ち上げが緊急に必要です。
日本のお家芸であった海運業の国際競争力をどう高めるのか。 拓海広志さんは、豊かな国外活動の体験から、本書を通じて警鐘を鳴らしているように感じました。
竜馬が現代に生きていたら、同じことを言ったかもしれませんね。
『地球規模の戦略で、勝負しなきゃあかんよ。
やったことがない、知らん敵だからと言って、
逃げちゃいかんぜよ。
おりゃあ、敵の勝海舟すら利用して、
海援隊を結成したんだぜ』
なんて具合に・・・
原始の船から日本の海運の未来を語るまでの内容!!
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海運といえば外国航路ばかりが注目されがちだった。
しかし本書では低迷を続けている内航海運にまで話を進めていく。
今後ますます深刻になると言われている日本人船員不足。
内航海運産業の歴史的な要因による構造的問題も指摘される中、国際的な観点から内航に求められていくだろう未来について、一つの方向性をも示している。
船の始まりから技術革新、海運の発展とともに進化しつづける物流を優しく解説し、「モノを運ぶこと」自体の意味や魅力が詰めこまれている。こうした感性から、写真を多用して物流を紹介している本は珍しい。
業界の人間にも納得の、ぜひ一般の方々に読んでもらいたい内容になっています!!
(全日本内航船員の会 スタッフ)
ロジスティクスを学ぶ学生に最適です!
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大学院でロジスティクスを研究している学生です。。
ロジスティクスを学ぶ際に実務経験のない我々学生が一番困るのが「ロジスティクスの要である現場をイメージしにくい・・・」だと思います。
本書はそのような障壁を取り除くのに最適な本だと思います。どのような説明にも写真や図がついておりイメージしやすい上に頭にも入りやすい。覚えようと意識しなくてもいつのまにか頭に入っている。そんな感じでした。
学生にとって更にうれしいのがページの下部に参考文献が載っていること。「あ〜ここはもう少し深く掘り下げたいな。」と、思う時に著者がちょっとしたコメントともに参考文献を載せてくれているのでそこからさらに勉強を進めていけると思います。
痒いところに手が届く、入門書にして実用書
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貿易商社に勤務している仕事柄、貿易・物流関係の書籍、資料などに接する機会は多く、また、仕事上の調べ物に利用することも多い。それらの多くは、初歩的すぎたり、あるいは専門的すぎたりして、研究者や専門家でもなければ、一定の実務経験を積んだ、いわば素人ではないというような我々のような立場の者にとっては、まさに「帯に短し襷に長し」というたとえが当てはまる場合がほとんどである。
おそらくそれらの入門的、初歩的なな内容と専門的、細分化された内容の両極端の中間に横たわるのが、いわゆる貿易・物流業界の「暗黙知」的な領域と思われるが、これらがすなわち実務上の重要な情報・知識である。
これらの全てを資料化・書籍化することは困難であり、また、そうすべきか否かについても即答できないが、少なくとも本書はそれら暗黙知への入り口をパノラマのように提示し、広大・深遠・さらに常に変化をつづけている国際物流の世界へと読者を誘う最良の書のひとつと思われる。それもそのはず、著者は国際物流の最先端を世界を股にかけてリアルタイムで駆け抜けている実務家であり、かつ商船大学において専門的な学問領域も納められているという、バランスのとれた経歴と見識の持ち主であり、彼ならではの仕上がりとなっている。
従って、たとえば貿易・物流を目指す学生諸君や貿易会社・物流会社の若手社員への入門書として最適なのは言うまでも無いが、一定の実務経験のある中堅実務家の日々の業務の実用としても、十分に使用に耐える内容となっている。
また、豊富な写真や図など、実務家のみならず、船舶マニアの方々にも
嬉しい内容となっている。ぜひ、ご一読を!