詩と宇宙
★★★★★
初めて佐治先生の天文学のお話を聴かせて戴いたのは、ある大学の記念講演ででした。そのときのお話は天文学というよりも、金子みすずさんの詩と、星星、宇宙の織り成す交響曲だったかも知れません。そのころ、金子みすずさんはほとんど無名でした。佐治晴夫先生が初めてその素晴らしさを伝えてくださいました。宇宙の話を金子みすずさんの詩を通して語って下さったのです。私はそのお話のあいだじゅう、ずっとほとんど泣きっぱなしでした。
「おそらにはてはあるの?」はそんな絵本です。
このようなこころの深いところに届いた本をいくつか紹介したいと思います。
詩集 念ずれば花ひらく (単行本)
わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集 (単行本)
にんげんだもの (単行本)
クリスマスのプレゼントでもいいし、何の記念日でなくても読んで喜んでいただけたら嬉しいです
はては有限、はてな?は無限
★★★★★
おそらにはてはあるの? と子供に聞かれたとき
あなたはすぐに答えられますか?
誰もが一度は抱いたことのある素朴な疑問にたいして、
「えっ こんな説明の仕方があったのか!」
と 思わず膝をたたいてしまうような回答を本書は見せてくれる。
難しい理論や数式など必要ない。
星空が無限につづくと生じる矛盾。それは砂浜や森の木々といった
身近な例から推理できることなのである。
まるで、名探偵が怪事件の謎をあざやかに解き明かしてしまった
かのような知的興奮を味わいました。
ただし、星空は有限と言えるでしょうが、宇宙そのものが有限か
どうかの疑問は残されたままであり、まだまだ考える余地はある。
この作品をきっかけに、さらに専門的な本へ進むのもいいでしょう。
まあ、ボク的には宇宙は無限だとしておきたい。
だって宇宙にはてがあるとしたら、じゃあその先はどうなってるのか?
と考え続けなければならないから。
好奇心は際限がない
★★★★★
一体どうして空は有限なのか、その答えを星の輝きから導き出す。子供たちのやわらかい頭に、その仕組みがすっと入り込んでいく。たとえようもない感性を、井沢氏の簡潔で深海のようにおおらかなタッチの絵が後押ししている。このようなひらめきを生涯もてたら、なんと楽しくロマンチックな人生が送れることだろうと、思わずため息が出るような秀作である。
よく読むと奥深い
★★★★★
この本は見てのとおり、子供向けの絵本です。
幼稚園児でも読んで理解できるでしょう。
しかし、この絵本がテーマとして扱っているのは
「オルバースのパラドックス」という宇宙論の問題です。
物理の世界でも最先端の宇宙論に関する問題を
子供向けの絵本にまとめ上げてしまうところに
著者のすごさを感じます。