校庭での暴動を明るみに出そうとも、フェミニストに共感しようとも、人形の首を切ろうとも、ポンプロックの「Poison(毒)」入りの瓶を用いてドライブの合間に誘惑しようとも、そうしたトラックがロックンロールの重要リスト入りしようとするとき、奇術師クーパーはいつだってそこに、あるいは、その近くにいたのだ。そして死に物狂いでニュー・メタルに肩を並べようとしながら、流行の変化の中でのたうち回った比較的長く続いた不遇の時期を経たのち、本作では絶頂期のスタイルに戻っている。最小限の音で構成されるガレージ・ロックの現代的なムードをさりげなく取り入れがらも、クーパーの本質をさらけだしているのだ。
ホワイト・ストライプスやザ・ヴァインズの原理主義者魂にインスパイアされたクーパーは、刺激的なデトロイト・ロックのルーツを再び受け入れ、余分な音をそぎ落とすことで自らのバンドを基本に返らせている。そして、1970年代初期の最高作を再現するような簡潔でフックの詰まったヒット性の高いトラックを聴かせてくれる。生き生きとした音(「Man of the Year」)、インスパイアされた音(「Detroit City」)、古典的な音(「The Song that Didn't Rhyme」)、現代風な音(「Between High School & Old School」)が共存する不滅のアリス・クーパーのサウンドは、いま再び、トップの地位を狙うアーティストになったかのように響いている。(Ian Fortnam, Amazon.co.uk)