Play
価格: ¥443
テクノの革命児久々の新作は、心地良くて清らか、聴くと元気になる1枚。『Play』で聴かれるのはブレイクビーツ、アンビエント風ミックス、ブルースやゴスペル風サンプルのカクテルであり、時代やジャンルの概念を超えて訴えかけてくる。ビートに慣れた耳にも本物だとうならせる出来。他のアーティストではまねできないようなこんなアプローチが許されるのは、モービーが敬虔(けいけん)なクリスチャンであるとともに、徹底して奇抜な音楽的発想にこだわっているからであろう。その真摯(しんし)な姿勢は、全体のビートや多様な要素を含んだアレンジの中に脈打っている。「Find My Baby」と「Natural Blues」で聴かれるソウルフルなリフや叫びは、「Bodyrock」の正統派ダンス・パーティー・チューンと「Inside」の口でとろけるようなアンビエンスの中間を、さりげない美しさで表現している。モービーはターンテーブルを駆使して、ピュアでさらに根本的な何かを見つけてしまったようだ。実際このアルバムは、テクノとは思えないほどナチュラルな響きを持ち、どんなDJよりもスピリチュアルで、実に生き生きとしている。興味のある方は、名作コンピ『Natural Blues』でサンプル元となった原曲を聴いてみると良い。エタ・ジェームスやベラ・ホール、BBキングといったブルース、ゴスペル系シンガーたちによるオリジナルを楽しめる。(Matthew Cooke, Amazon.co.uk)