デスティニー・チャイルドのことはもう忘れていい。いまや自立した女性のアンセムといえば、メキシコの歌姫タリアだ。みずからの名を冠した彼女の8作目のアルバム（EMIラテン・レーベルからは4作目）には、スカ風の「En la Fiesta Mando Y」から、がむしゃらに自分らしさを主張する「A Quien le Importa」まで、ガール・パワー・ソングが満載だ。1997年の『Amor a la Mexicana』と1999年の『Arrasando』で同様のテーマを取り上げたタリアの独壇場といえる。
本作は聴き手を即座に引きこむようなタイプのアルバムではないが、タリアがアーティストとして成長し続けていることを示している。「La Loca」はロック、クンビア、ラップのリズムのごった煮。きらびやかな「Vueltas en el Aire」はあちこちのダンス・フロアで流されること間違いなしだ。トミー・モトーラ夫人でもあるタリアは、「Tu y Yo」ではクンビア・キングスとチームを組み、「The Mexican」ではマーク・アンソニーに協力を依頼。これらのコラボレーションが刺激になったのか、切なる想いを吐露したバラード「Closer to You」や、デッド・オア・アライヴの「You Spin Me 'Round」のカヴァー（タリアのセクシーな歌いっぷりが印象的）には、次なる新境地開拓の意気ごみが見える。この快進撃が続けば、我々はみんな喜んで新たな歌姫のしもべになるだろう。（Joey Guerra, Amazon.com）