個々のパーツの具体的な描き方を解説した良書
★★★★★
「やさしい色えんぴつ」につづく色鉛筆全般を対象にした入門書。前作同様、
画面全体の構成にこだわらず、個々の物をそれぞれ塗っていく、その過程を
中心に解説が進みます。非常に平易でかつ具体的であり、よく理解できます。
前作「やさしい」よりも題材は増えています。その分、画材の選び方とか、
基本事項のバリエーションは「やさしい〜」より少なめに押えてあります。
そして、この本の題材を、その解説通りに描くと本に書いてあるとおりに
自分でも描ける。まるで、折り紙の本を読んでいるようです。これは大切な
事だと思います。得手不得手があるのでしょう私的には動物は少し難易度が
高かった。あと、ベースになっているのは油性色鉛筆です。最近流行の、
水性色鉛筆は秋草さんのシリーズに「はじめての水彩色えんぴつ」という
著書があります。ちなみにそちらは、題材が花中心になります。わたしは、
色鉛筆をはじめるなら、まずは基本の油性は押えておいた方がいいと思います。
最初に描くのはトマト、どこが薄くてどこが濃いのか、観念的になりがちな
部分を、実際のものの見方へとそれとなくナビしてくれる。そして、お菓子の
パッケージ、果物、花、動物、それぞれ、個々の題材を丁寧に、塗り方の
ポイントをおさえて解説してあります。色鉛筆ではなるべく省略しないで描く
事でより繊細な表現に導こうという意図がくみ取れます。
きっと、これを読んだ人は秋草さんのファンでなくても好感を持つと思う。
そして、スケッチに出かけるという行為を身近に感じさせてくれる事に
なるでしょう。あとはスケッチブックを広げる勇気をほんの少し出すだけ
ですね。その準備が十分にできる本です。色鉛筆スケッチは水彩よりも
格段に手軽なはずですから。きっとできます。