カウンセラーがやっていることを、ただ字にしただけでは、あまりに単純で簡単で「こんなのだったら俺でもできる」「こんなのに金を払うのか」と言われるのを恐れてでもいるのだろうか。
もちろんカウンセリングの世界を「やさしいコトバ」で書こうとした本はたくさんある。けれども、どこかで「いや、カウンセリングは深いんだよ」「カウンセラーは専門家なんだよ」というのを言わなければならない意識が邪魔して、それでも過剰に理屈っぽかった。
この本は、そうした余計なガードもベールも外して、カウンセラー初心者のための実用書に徹している。「やってみないとわからない」とか、「経験をつむうちに自然にわかる」という態度を取らない。むしろ、そうしたスタンスでは、育つカウンセラーも育たない、と考えている。
だから包み隠さず、大切なことは必要なだけ詳しく、しかも繰り返して書いてある。書いてないことまで、これはこういう理由で書かない、と書いてある。