居場所を探して
★★☆☆☆
「わたしはここにいる」と呟くことそれ自体が、他者への願いとなっている。
自分が呼びかけるのではなく、向こうから気づいてほしい、呼びかけてほしいという願いである。
ここにいると呟いているのは過去の自分だ。7つの短編のそれぞれの主人公は過去を振り返り、なにかしら過去に縛られている感覚を持つ。
その呼びかけは、現在の自分に、母親に、過去の恋人や疎遠になりつつある夫に、道をたがえた同級生、社会一般、あるいは、既に死んだ人に、向けられている。
心の中で「ここにいる」と叫び続けてみても見つけてもらえるとは限らない。あるいは、見過ごして、そっとしてもらえるとは限らない。
叫んでも届かないことがわかっているから叫ばない。でも、呟かずにはいられない。
それは赤ちゃんの泣き声にも似ていて、どこか子どもじみているかもしれないが、とても切実な響きを持つ。
届かずに消えていく声の救いのなさに、胸がざわざわと落ち着かない感じが残った。
サスペンス短編集
★★★★☆
キレイな表紙絵と、裏表紙の”「さがす」をテーマに綴られた
七つの物語”という作品紹介に惹かれて購入しました。
「わたしを探して」から「その日まで」の7作品が収録された
短編集であり、「わたしはここにいる、と呟く。」という作品は
存在しないのですが、直接的な繋がりはない7作品を読後に
本タイトルを見ると、「なるほど、この短編集にマッチした
タイトルだな〜」と感じると思います。
作品自体はミステリーと言うよりはサスペンス要素が強く、
笑顔で読み終われるのは1作品のみですが、人間の心理描写が
巧みであり、短編でありながら作品の世界観に惹き込まれます。
また、実際にあった事件を連想させるものや意外な結末も
あったりと、読者を飽きさせません。
新津きよみさんの作品は初めて読みましたが、楽しめました。
これぞ新津きよみ!
★★★★★
書店で何かよみたくてうろうろしていたら
綺麗なカバーの本があるなーと思った。
そしたら新津きよみ先生の本ではないか。
この人は外れがないので、迷わず買い。
うーん、うまい!
これぞ新津きよみ。
この人の短篇は本当に良くできています。
長篇も読みたいな。
まあまあ、面白かったです!
★★★☆☆
新津きよみの7つの作品から成る短編集
1つ目の「わたしを探して」は今ひとつでしたが残りの6作品は面白く読めました。
中でも歪んだ形の復讐を描いた「忘れはしない」と奇妙な偶然を描いた「あの日あのとき」は印象に残る作品