マチュピチュを知りたい人に最高の選択
★★★★☆
これほどアンデスを歩いた日本人はいないでしょう。
独自取材により発掘された歴史も興味深い。
文献の引用と自説がはっきり判別できるように
書かれているのにも良心を感じます。
自説も著者自身の足と
様々な専門家との対話で検証されたものであることが
読み取れます。
この一冊があれば、あとはそこに立つだけ。
太古から今へとつながる「聖なる力」を感じた
★★★★★
高野潤さんの本「インカの蘭」が気に入ったのでこの「マチュピチュー天空の聖殿」を購入しました。
前著と同様に写真が豊富で地図等の資料も多くあるので文章を読み進むと、行った事もないマチュピチュですが、その空気と作者が辿った時間を肌に感じます。
まず風景の緑の色がとても深く豊かで目に飛び込んできます。
子供達の本当にあどけない表情や瞳も印象的です。
また山々や谷間を見渡せるインカ道等での霧の漂う風景を見ると、神々を恐れ敬った当時の人々の気持ちが理解出来る様です。
特に「虹のある写真」は過去の人も感じたであろう天空の不思議と 今を生きる私たちの永遠へと繋がる流れを思わせ この不安定な時代を生きる中で私に「生きる力」を与えてくれます。
インカの始祖伝説の岩山、住んでいた人々の食生活、埋もれていそうなインカの遺跡等についての文章にも引きずりこまれ、いつの日かマチュピチュを訪れたくなりました。
新しいマチュピチュ遺跡の魅力を発見
★★★★★
マチュピチュ遺跡についてはわからないことだらけで、詳しい解説が出ている本はあまりなかったと思います。この本は、長年アンデスに滞在し、何度もマチュピチュを訪れた写真家が書いたものですが、考古学者などが書いた本とは違って、自由な発想でマチュピチュの謎に迫るという面白さがありました。特に、これからマチュピチュに行こうとしている人にはガイドとして非常に役立つと思います。私もマチュピチュに行きましたが、適切なガイド本がなかったので、この本に書かれている場所で、見ていないところがかなり多いのです。この本を読んで、もう一度マチュピチュに行かなければと思いました。
ハンディだけど……
★★★☆☆
マチュピチュ旅行を前に、手軽に持ち歩けること、数あるマチュピチュ関連書籍の中で最も新しい発行日であることなどで期待して買いましたが、正直なところ失敗でした。筆者が足しげく現地に通い、事情通であることはよく分ります。しかし、未解明の部分が多いインカの歴史について、その研究の専門家ではない方が自身の想像を根拠に見解を展開しても、読む側にはあまり意味がありません。また、インカの歴史について文献を引用した部分と、筆者自身の主語で語られる文章が混在するために、非常に読みにくい印象が残ります。辛口で申し訳ないですが、私にとっては買う必要は無い本でした。
インカの世界観や死生観、自然観にも触れる深遠な内容
★★★★★
マチュピチュに出かけたことのある私は、本書を開きながら著者が羨ましく思えました。あまりにも多くの角度から、マチュピチュを目にしている人だと感じられたからです。遺跡の細部、あるいは周りの氷雪峰や森なども。それらの写真を拝見しながら、肌にまとわりつくように感じたマチュピチュの空気を思い出させてもらうことができました。まるであの空間の中に舞い戻ってしまったかのように。
また、写真だけでなく、本文の内容も読み応えがありました。実際に現地を歩き続けてきたからこそ洞察できるのであろう著者の見解は興味深く、マチュピチュがインカにとって如何なる存在であったのか、インカの世界観や死生観、自然観などとダイナミックに連関されて語られており、マチュピチュやインカの魅力にますます惹きつけられます。
さらに、18〜19世紀時代のマチュピチュ地方の土地の売買、古い地図、ドイツ人が関わった財宝の会社の歴史なども、ミステリアスで大変興味深く、さらに詳しく知りたい気持ちをかきたてられます。実際にマチュピチュを訪れても掴みきれないほどの豊富な内容が満載されていると感じました。