京都・幕末維新をゆく (新撰 京の魅力)
価格: ¥1,575
京都には幕末維新時代の史跡があちらこちらに残っている。しかし、これを見て歩くのは意外と骨が折れる。京都にも都市化の波は確実に押し寄せており、よほど有名な史跡以外は、人目につきにくい片隅に追いやられていることが多いからだ。そんな史跡にスポットライトをあてる本書は、「新撰 京の魅力」シリーズの第3弾。幕末維新の事件と史跡のビジュアル・ガイドブックである。
混乱した時代の中心地であった京都における事件と人の動きを明快な文章で解説し、史跡の現状を写真で収録している。巻頭の「反幕思想の流れ 志士殉難第一号、竹内式部」から「寺田屋事変」「禁門の変」などを経て、最終章にあたる「鳥羽・伏見の戦い」まで、事件の発生した順番に章立てされている。
特筆すべきは、季節感を生かした写真の美しさで、同時に収録されている当時の手紙や錦絵などとあいまって、それだけで史跡めぐりをしたような気にさせてくれる。たとえば池田屋の碑とその横に立つ真っ赤な自動販売機という構図の写真は、京都のいまの息吹を確実に伝えてくれる。
読んでいると幕末維新に格別の興味がなくても、京都を訪ねてみたくなるだろう。その際には、巻頭の参考略図と史跡ごとの小地図、バスの路線番号表が役に立つ。(鏑木隆一郎)