洋書の第４版から第５版に変わった大きな点はマーチ特有の各ページの下にレファレンスがあったものが、各章の最後にまとめられた点にある。ほしい文献がすぐに目に留まる利点がマーチの良いところであった。しかし、第５版の翻訳版が出たことは、やはり英語版に比べ身近にマーチを参照できるため、うれしい。ただ、翻訳本にする際、レファレンスを各ページの下に戻してくれればなお良かった。
第４版の英語版、第５版の日本語版を併用すればよりよいかも知れない。

　Marchの特徴の一つにリファレンスの引きやすさがあります。
　各ページの下部にそのページに関連する文献が示されており、気になるものをすぐにチェックすることができるのです。
　それが、教科書としても辞書としても使えると世界中の有機化学者がこの本を支持している理由のひとつであるのですが…

　残念ながら訳本では、リファレンスが巻末にまとめられてしまっていてその長所が消えてしまっています。

第5版は、Smith氏が補足、改訂したことで、悪くなっている。Marchの第4版は、レファレンスが各ページの下に記載され、辞書代わりに使えたが、第5版では各章末にまとめられてしまった。これではマーチのよさが半減してしまう。各章１０００を超えるレファレンスをまとめて記載されてしまうと非常に使いにくい。購入するなら第4版を購入する方が良い。（第５版ではレファレンスは新しいものが追加されているが、本文は大きな変更はないため）コットン無機化学にもいえることだが、新しい版が常に良いわけではない。