超前衛的なワルツをどうぞ
★★★★★
"一組のワルツからなる"とは作曲者自身がこの曲を自ら評したものであるが、ワルツとの共通点は三拍子であることだけで、まったくワルツとは似て非なる作品に仕上がっている。それはリズムの使い方に有り、すでに一楽章の冒頭に見て取れる。三拍子で始まる第一主題提示において、開始まもなく拍子がなくなる不安にかられるのは私だけであろうか。また、第二主題提示後の激しく躍動する部分にもそれは見られる。もはや「三拍子の曲」ではない。和声においても、それに続く部分では当時として極めて斬新的なものを使用しているが、それをこれまた非常に「さらり」と使っているため、聴き手には心地よくさえ響く。これらのいわば「禁じ手」を連発しながらも、聴くものの心を捉えて離さないのは作曲者の無意識の内に秘められた凄腕ともいうべき手腕であり、魅力であると疑わない。是非、それを目でご確認ください。