すばらしいアレンジです
★★★★★
ソロ、連弾、2台ピアノと、その特性を生かし、アレンジの趣が違います。が、どれもすばらしいアレンジです。
リベルタンゴは、情熱的で迫力と厚みがあり、オブリヴィオンは、美しく、哀愁と深みがあります。
付録CDは、演奏の際の参考になるばかりでなく、観賞用としても充分聴きごたえのあるものです。
レベルは、上級者向きです。演奏会でも充分通用すると思います。
初中級者の場合「オブリヴィオン」だけならば、メロディーラインのゆっくりと音を伸ばす部分で、「ペダルを踏んでいても、すぐ音が消えてしまう」という弾き方でも満足すれば、弾けると思います。(それでも、仕上げるには、ある程度時間がかかると思いますが。)
または、どうしても弾きたいという熱意があれば、時間を充分にかけてじっくり練習すれば、弾けると思います。
「リベルタンゴ」は、非常に難易度が高いです。
定評ある山本氏の編曲、今回は模範演奏CDつき
★★★★☆
ピアソラの演奏の空気をかなり忠実に伝える山本京子氏の編曲。
「リベルタンゴ」は、同じ山本氏の手による音楽の友社版『ソロ・ピアノのためのピアソラ』『4手連弾のためのピアソラ』等所収の編曲と比べて、
・前奏が一部省略されている
・旋律をオクターブで弾く箇所がほとんどなくなった
・一部にはOssiaとしてより技巧的な(あるいは簡潔な)奏法が示されている
など、多少難易度は易しくなっているかもしれないが、全体の構成はほとんど同じ。
個人的には切ないほど美しいミロンガの「オブリヴィオン」が入ったことが嬉しい。(むしろこちらが目当てで買い求めました)
付属CD、「リベルタンゴ」冒頭を聴いて、やや走り気味かと思われたが、非常にドライブ感のある演奏。
気になった点。「リベルタンゴ」の連弾、二台ピアノの楽譜(percussion instrument)とだけ記されている箇所(フラメンコギターのゴルペ奏法のように鍵盤の蓋などを叩く)は、リズム、音色ともに切れ味の鋭さが欠かせないのに、多少もたつきがあるのが残念と思う。
既に山本氏のいずれかの楽譜を持っている人には、内容が重なってしまうが、これからリベルタンゴを弾いてみようという方、レパートリーを広げたい方にはお勧めできるかも。