みんな似たり寄ったりのニュー・メタル勢の中にあって、ステインは際立った存在である。そうなった理由のひとつとして、心に残るバラードが挙げられる。この4人組の2001年のブレイク作『Break the Cycle』に収録されていた、痛ましくも美しい「It's Been A While」や「Epiphany」は、その代表といえるだろう。彼らの最新アルバムは自然な進展を見せている。ステインドは、感動的だがヘヴィなロック・バラードに商業的価値があると知って、どっさり書きためていたのだ。
軽快で陽気な「How About You」はラジオを意識した曲だが、厚みのあるサウンドとストリングスによる伴奏をもつ「So Far Away」や、成功を素直に喜ぶ気持ちには、ヴォーカル担当アーロン・ルイスのくつろいだ一面が現れている。ルイスが自分の赤ん坊に捧げた曲「Zoe Jane」や、アリス・イン・チェインズのヴォーカリスト、レイン・ステイリーに対するトリビュート「Layne」(アリス・イン・チェインズ独特のサウンドを意図的にパクって効果を上げている)、大がかりな感謝状といえそうな「Intro」はひときわ力強く、非常に内省的な内容をもっている。本作はルイスの手による、ある時は感動的で、ある時は感傷的なCD日記なのだ。(Katherine Turman, Amazon.com)