Bed, Bed, Bed (They Might Be Giants)
価格: ¥1,468
変わり者ロックユニット、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツが贈る想像力豊かな物語と歌の数々。日常から抜け出したいと思っている親子なら、きっと気に入るはずだ。子ども向けCD『No!』の大ヒットの余韻もさめやらぬなか届けられた本書『Bed, Bed, Bed』は、ジャイアンツによる4編の短い物語に、マルセル・ドザマのシュールで装飾的なイラストが添えられている。さらに、4つの物語すべてを歌にして収録したCD付きだ。「Impossible」は、「オクトフィッシュ(Octofish)」や「オクトフィー(Octofee)」といった奇怪な動物に変身したり、長く伸ばした紫色の髪が階段から流れ落ちたりする空想を描いた物語。 不思議な動物たちや奇妙にねじれた現実世界に、子どもたちは大喜びするはずだ。ジョン・リンネルの超現実的でなぞめいた歌声にも夢中になりそう。「Happy Doesn’t Have to Have an Ending」は、「地球上のすべての人にバレンタインの贈り物をする使命を帯びた」ヒッピーの子猫の物語。みんながダンスをして幸せになればいい、と子猫は願う。優しく眠気を誘うビートでスローダウンする「Idlewild」は、夢の中でカーニバルを訪れる物語。しかし最後の物語こそ、ジャイアンツの真骨頂だ。「Bed Bed Bed Bed Bed」は眠りがテーマの物語で、考え抜かれた、かつキャッチーな仕上がり。「今日はいろんなことをした、もうやることは残ってない」とゲストボーカルのキムヤ・ドーソンが歌う(『No!』収録のものとは異なる、スローなバージョンになっている)。物語自体はなじみ深いベッドタイムの出来事をテーマにしているが、ドザマのイラストが魅惑的にゆがんだ情景を本書に与えている。子どもたちはクマと一緒に3度の食事をとり、ペットのタコやタキシードを着たウサギとともに眠りにつく。歌の中ではなめらかに流れる歌詞も、活字になると多少ぎこちない。とはいえ、本書の物語とドザマのイラストほど想像力あふれる児童書は、いまだかつて例を見ない。いつまでも記憶に残るであろう1冊だ。(John Moe, Amazon.com)