49年にパリで開催された第1回インターナショナル・ジャズ祭には、シドニー・ベシェ、ホット・リップス・ペイジ、チャーリー・パーカーなどアメリカのジャズメンが多数出演した。当時23歳だったマイルスはタッド・ダメロン・クインテットの一員として同祭に出演。これはその時のライヴを収録したコレクターズ・アイテム。
   49年というと『クールの誕生』を思い出す人もいるだろうが、それとはまったく趣の違う演奏だ。というのも、ここでのマイルスはチャーリー・パーカーと一緒だった時代をほうふつとさせる熱くエネルギッシュなプレイに徹しているから。49年とはいえ、ここにはクールなマイルスではなく、ビバッパーとしてアドリブに心血を注ぐ熱血漢のマイルスがいる。テナー・サックスはジェームス・ムーディで、ムーディとの2管編成というのも珍しい。70年代になって発表された放送録音で、音質はかなりひどい。しかしマイルス49年のライヴが聴けるところに、それを補ってなおオツリがくる絶大な価値がある。（市川正二）