もと全共闘の中野先生が書いた漢文の参考書．　「お上」が「ろくでもない」なら，それをぶったおすのが「正義」なのである．　「お上にさからわないように，体制にさからわないように」　　なんてバカなことを言うのは，いずれにしろ「人民の敵」である．などという左翼的な発言が随所に見られる．出版社の性格も合わせて考えて微笑ましい．漢文を語学として捉えている受験参考書．いわゆる句法を中心とした漢文参考書とは一線を画す．読むと，書き下し文の作り方までよくわかる．兼語式など現代中国語の文法を用いて解説してある．講義調なので読みやすい．第一講から第十二講まで，とりあげられている課題文がどれも楽しく，読んでいて飽きない

読んで楽しい漢文を集めて文法的に解説したのが本書である。現代中
国語の文法に倣って軽快に語られていてすいすいと読み通せる気がし
てしまう。本書の語り口につられて読み通すと、ついついマスターし
た気になってしまう。繰り返し読んで自分の物としよう。
いかんせん本書では練習量が不足で、必須の句型も網羅されていない。

別の書物で補う必要があろう。中野先生は「辞書は２冊以上引け」と
おっしゃるが、師事する先生も２人以上いてもいいのでは？
現代中国語を学ぶときも、文型や品詞解析ばかりではなく、慣用句型
や成語、虚詞などの修得も大事なのですから。

この本をきっちりやれば、漢文に関しては全く心配はいらない。非論理的な漢文参考書は捨てて、この本をやることが合格への近道。同じ著者の「中野式漢文なるほど上達法」および宮下典男氏の本もおすすめ。