ABC Music the Radio 1 Sessions
価格: ¥1,522
「演奏に気を取られて下ばかり見ている」美の追求者、としばしば冷やかされるステレオラブ。だが、なんとも決まりの悪いことに、彼らは91年の結成以来ずっと、活発で独創的な驚くほど意欲的なライヴバンドであった。本作の32曲は、BBCラジオでジョン・ピールとマーク・ラドクリフをホストに迎えたスタジオ・ライヴだ。初期のナンバーは、ガレージロックの雰囲気を伝え、リスナーは彼らがことさら隠そうとはしなかった、効果的なサウンドを使ったこの「グループのグルーブ」を耳にできる。たとえば「Anemie」では、ファルフィッサ・オルガンを前面に出して、ファウストのナンバー「Rainy Day」に敬意を表している。90年代が進むにつれ、レコーディング作品はさらに洗練され、細やかなアレンジをほどこされるようになった。けれども、このライヴでは何曲かがその繊細さを失っていたとしても、代わりに力強さを加えている。なかでも96年の10分におよぶ「Metronomic Underground」のサウンドは、粗削りな最新式のアフロ・ロック・ナンバーになっている。本作は、昔からのファンなら手に取るのをためらうべきではないし、新しいファンにとっても、この独創的なポップ・バンドのキャリアの陽気でラフな回顧録と思えるかもしれない。(Mike McGonigal, Amazon.com)