本作『Hard』は、そんな90年代初期のサウンドに近い。ジャギド・エッジの故郷アトランタが生んだひとりのヒーロー(つまり、「Car Show」にゲスト参加しているアウトキャストのビッグ・ボーイ)に戦略的なオマージュが捧げられたり、このところ人気再燃中のノリのいいダンスホール・ナンバーを意識したナンバー(メジャー・ダメージという絶妙な名前のアーティストをフィーチャーした「Girls Gone Wild」)が用意されていたりするとはいえ、アルバムの大部分は4人のハーモニーだけで勝負したチューンである。実際、タイトル・トラックは彼らのストリート的なタフさを誇示するのではなく、実を結ぶことなく終わりそうな愛について語っているのだ。
ここに収められている曲のほとんどは、3つほどのテーマに行き着く――愛の幸せ、失恋、クラビングだ。そして、過ぎ去りし時代のこだまも聴こえてくる。(Rickey Wright, Amazon.com)