桂離宮に魅せられて過去に数回訪れています。小学館から『月の桂離宮』が発行されているのを知り、矢も楯もたまらずに入手しました。大好きな三好和義氏の撮り下ろしによる写真集が付いているから尚更です。

DVDは多方面から桂離宮の魅力に迫っています。以前NHKハイビジョンで放送された「桂離宮 知られざる王朝の美」を元に再構成していますので放送とは異なります、という但し書きがパッケージに書かれていました。87分という収録時間ですから、より詳しい内容が収められています。

通常の参観ルートの景観とは違う池の船遊びからの画面は新鮮ですし、古書院内部の調度品や杉戸、襖絵などは非公開ですから、このDVDで堪能させてもらいました。
DVDのラストには「月の桂離宮」に相応しいCGで、観ることの叶わない月夜の桂離宮を疑似体験させてもらいました。月波楼や月見台から池を通して見る月はまさしく観月に相応しい建物だと感じました。

その美しさをもっと知ることができるのが三好氏の写真集でしょう。64ページという分量ですから多くはありませんが、そのほとんどが月の桂離宮の美しさを三好氏の写真で観賞するわけで、一般では体験できない景観がそこに広がっていました。

日本庭園の美の極致を名カメラマンが撮っていますから、味わいもまた格別でした。写真の色調が落ち着いており、深みや陰影に富んだ写真に惹かれます。音のない静謐な空間の素晴らしさが伝わってきました。
桂離宮の美しさを最大限に引き出し、最高の写真として提示する感性がないとこのような見事な写真集には成りえなかったでしょうね。