若い芸術家の肖像
★★★★★
田中さんの本のなかで一番いいと思う。写真作品、そのデータ、文章、田中さん以外の人たちの文章から構成されている。
ここには20代の青年の高い制作意識と生活の交差、ウィーンという街の東洋人への冷たさと青年の日本人としてのそして空間的時間的コスモポリタンとしての自意識の交差がある。
それが古風なモノクロームの像として光線のようにわたしの方へ届いてくる。古い教会のような本と言ったらいいか。
データが付記されているのでフィルムフォーマットやレンズの焦点距離と画像の関係もわかる。